調律師を目指す青年の成長を描いた「羊と鋼の森」

宮下奈都さんの「羊と鋼の森」を読みました。

こちらは、映画化(山崎賢人さん主演)だけでなく漫画化もされている作品。
第154回直木三十五賞の候補作に選ばれ、第13回本屋大賞で大賞に選ばれています。

「羊と鋼の森」は、ピアノを弾いている方には身近な存在である調律師のお話。
その仕事の奥深さが描かれています。

主人公の外村という青年の仕事へのひたむきさに、調律師という仕事のイメージがガラリと変わり、ピアノの音を自然に例えた表現などが読み手の想像力を掻き立てます。

 

「羊と鋼の森」はこんなお話

主人公は、北海道の山村で暮らす高校生の外村。
ある日、先生から来客を体育館まで案内するように頼まれます。

そのお客さんは、体育館のピアノを調律する調律師・板鳥さん。
初めて知る調律という仕事を見ているうちに、調律という仕事に惹かれ自分もやりたいと思うようになります。

勢いから板鳥さんに「弟子にしてください!!」とお願いするのですが、「まずは調律師の学校に…」と、至極当然な事を言われます。

板鳥さんのアドバイス通り、高校卒業後には北海道を離れて本州の調律学校に2年間通い、卒業後に板鳥さんが勤める楽器店に就職。
最初は、7年先輩の柳さんと一緒に仕事に回ります。

そこで出会ったのが、ふたごの姉妹。
姉の和音は静謐なピアノ、それに対して妹由仁は生き生きとした色彩のあるピアノとまったく異なる二人のピアノ。

外村は和音のピアノに惚れこみます。

2年目に入ると、少しずつ仕事を任されるようになりますが、技術的にも精神的にもまだまだ半人前。
そんなある日、双子がピアノを弾けなくなってしまったということを知ります。

 

青年の成長を静かに綴ったお話

「羊と鋼の森」は、外村という青年が調律師と出会い成長していく姿が淡々と描かれています。
そこにお客さんのドラマが加わり、調律師とピアノの演奏家との関係性なども。

特に双子の姉妹のピアノへの向き合い方は、外村にも大きな影響を与えます。

楽しんで弾いていた時は終わり、これからのピアノとの向き合い方を考え始めた双子。
読んでいて、人生について本気で考え始める姿勢が懐かしく、自分の子どもがやがてぶつかっていくであろう時の事を想像させられました。

淡々と静かな描写なので、小学生にはなかなか読みにくいかも。
ただ、ピアノ好きなら興味を持って読めるかもしれません。

また、読んでいるとタイトルの意味も分かってきたりして。

 

中学入試にも出題

こちらの作品は、中学入試にも出題されています。

2017年
鴎友学園女子中学校
神戸女学院中学部
淑徳中学校
六甲学院中学校

2018年
筑波大学附属駒場中学校

2019年
自修館中等教育学校
森村学園中等部

 

また、その他の作品も多数、中学入試に出題。

「本をめぐる物語 一冊の扉」
「つぼみ」
「精霊の呼び声―アンデスの道を求めて」
「ふたつのしるし」
「つむじダブル」
「終わらない歌」
「窓の向こうのガーシュウィン」
「スコーレNo.4」
「よろこびの歌」
「遠くの声に耳を澄ませて」

個人的に、どこか幻想的な感じの文体が好き。
繊細な感情を丁寧に表現しているところが、気持ちも静かに読書が楽しめます。

 

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