10代の繊細な感情と不登校が描かれた、辻村深月「かがみの孤城」

年末年始、前から読みたかった本をやっと読むことができました。

「ツナグ」「鍵のない夢を見る」などで知られている直木賞作家・辻村深月の「かがみの孤城」。
書店の店員さが一番売りたい本を選ぶ「本屋大賞」をはじめ、多数の賞を受賞しているベストセラー本です。

・王様のブランチBOOK大賞1位
・キノベス!2018 4位
・このミステリーがすごい!2018国内賞8位
・埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2017第1位
・第11回神奈川学校図書館員大賞(KO本大賞)

かがみの孤城 (一般書 113) [ 辻村 深月 ]

価格:1,944円
(2019/1/5 13:48時点)

「かがみの孤城」は、いろんな状況から学校での居場所を失い、家に閉じこもってしまった子供たちが主人公。
(まぁ、一人例外がいますが…)
他のメンバーと次第に打ち解けあい、心を通わせあいながら、自分たちの問題に目を向け考えていきます。

光輝く鏡から、1日の決められた時間だけお城に行く事ができる。
隠された鍵を探し出し、秘密の扉を開くことが出来たら願いが一つ叶う…というお話。

クライマックスの怒涛の展開は一気読み間違いなし!

ファンタジーの世界観も、意味がある存在としてお話の中に組み込まれているとわかったとき、いくつもの伏線を最後は見事にしっかりと回収しているすごさに驚かされます。

 

作者である辻村さんは、不登校を経験してはいません。
スクールカウンセラーさんや不登校当事者に取材しての執筆。
ただ、辻村さんも中学時代について「一番窮屈で、一番物事を深く考えた時代」と、決して何もなかったわけではありません。

作品を読んだ不登校当事者・経験者からは「泣きそうなほどリアル」「当時の状況が蘇って苦しかった」という反面、「気持ちが救われた」といった感想が聞かれているそうです。

それだけ、寄り添ったメッセージのある作品に仕上がっているということでしょうか。
読んでいて、他人事とはいえない怒りや悲しみ、そして心が通じた時の嬉しさを感じました。
是非親子で読んでほしいと思う作品です。

 

辻村深月の作品は、最近の中学入試でも出題されてきています。

クライマックスのどんでん返しなどは、読んでいてドキドキわくわく。
ただ、一部に少しサブカル的要素が含まれていたり、暴力的表現が入っていることもあるので、作品の選択にはちょっと気を付けたいもの。

 

「光待つ場所へ」
2018年:雙葉中学校

「鍵のない夢を見る」
2016年:灘中学校

「家族シアター」
2018年:開智未来中学校、高田中学校
2017年:慶應義塾湘南藤沢中等部、洗足学園中学校
2016年:麻布中学校、名古屋女子大学中学校
2015年:甲陽学院中学校

「島はぼくらと」
2015年:桐蔭学園中等教育学校
2014年:海城中学校

「サクラ咲く」
2018年:洛南高等学校附属中学校
2017年:大妻多摩中学校、
2015年:札幌光星中学校、桐光学園中学校男子部、和洋九段女子中学校
2014年:八雲学園中学校

「ロードムービー」
2017年:市川中学校
2015年:関東学院六浦中学校、日本大学第二中学校
2013年:公文国際学園中等部
2010年:渋谷教育学園幕張中学校

「ぼくのメジャースプーン」
2013年:聖光学院中学校
2012年:埼玉平成中学校

 

文庫本でもよく見かける作家さんなので、大人の方にはなじみが深い作家さん。
若いティーンエイジャーを主役にした作品も多いので、辻村ワールドを親子で堪能するのもいいですね。
読書後の感想も、違った意見が出てきそうでおもしろそうです。

 

にほんブログ村 受験ブログへ




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です