第152回直木賞受賞作品!西加奈子「サラバ!」

第152回直木賞受賞作品、2015年本屋大賞2位。
西加奈子さんの「サラバ!」を読みました。

当時は、本屋さんにズラリズラズラと並べられていたのを覚えています。
あれは圧倒的でした。

この本は、圷歩(あくつ・あゆむ)という男性の自伝。
筆者である西加奈子さんは女性ですが、ものすごく男性目線での書き方でリアリティーが半端ない。

特に、中学・高校・大学の男子生徒にありがちな態度など、その心理描写のすごさには驚かされました。

「確かに、こんな感じだよね。男子!」

って思うところがたくさんあり、その心理的なものを知り、「なるほど!」と思うことしきり。
自分の学生時代を思い出したりして。

母は姉妹で育っているし、花も姉妹。
男の子の成長を間近に見た事がないので、これはなかなか勉強になりました。

花にも、その年に近くなったら是非とも読んでもらいたい。
そして、男子のその心理を知り、男子の行動心理で誤解しない、また男に引っかからないように気を付けてほしい(笑)。

 

「サラバ!」はこんなお話

話は、主人公の歩が産まれた時の描写から始まります。
場所は、イスラム革命直前のイラン。

破天荒(?)な問題児の姉・貴子。
自己主張の強い母。
自分のことより人の事ばかり考えている優しい父。

女性陣のアクが強い中、歩は小さい頃から自分を消して周囲に溶け込むように生きる術を身につけます。

イランから大阪に。
そして、大阪から今度はエジプトに。

小学低学年の時に赴いたエジプトでは、その後の歩の人生に大きな影響を与えることになるエジプシャンの少年・ヤコブと出会います。

が、同時に圷家の崩壊した時期でもありました。
両親の離婚と日本への帰国と、目まぐるしい。
両親が離婚した理由は最後に語られます。

高校は男子校に入り、そこでこれまた人生において親友となる須玖(すぐ)と出会います。

ここまでが、上巻。
下巻は、1995年の阪神大震災から始まります。

続く地下鉄サリン事件で感受性の須玖が心を閉ざし、歩とも疎遠に。
姉の貴子は宗教的なひと騒動の渦中の人となり、さらに歩は距離を取るようになります。

大学を出た歩はフリーライターに。
順風満帆の生活と思いきや、30歳を過ぎた頃に歩の人生を一変させる出来事が起こります。

本人にとっては大問題な問題。
この事に悩む男性は少なくないでしょうが、これまでの歩の人生においては大打撃。
その絶望感が伝わってくるほど。

さらに、あれほど不安定だった姉も様変わり。

立場が逆転(?)したような中、歩はこれ以上にないくらいのどん底に沈んでいきます。

歩はどうなるのか!?

 




 

歩と貴子の対比がすごすぎる!

正直言って、最初はあまり面白く感じませんでした。
「なんだかダラダラ続くなぁ~」と思っていたぐらい。

でも、歩とその家族を知るうちに、どんどん興味関心が深くなり、「えっ、それで!?」とその先が気になるように。
さにら、怒涛のような展開に目が離せなくなります。

特に、姉・貴子の動向はドキドキハラハラでした。
だからこそ、世界に旅に出た貴子が戻ってきた時の様子にはびっくり。
読んでいるこちらも、歩の気持ちになっていましたから!

姉の貴子が大変身を遂げた(信じるものをみつけた)その頃、歩は人生のどん底に落ちてしまっていたのですが、その二人の対比がすごすぎる。

この二人の未来を想像できた人なんて、いたのだろうか?
って感じです。

 

「自分の信じるもの」がテーマ

歩がどん底に落ちている時、姉・貴子は「自分の信じるものを見つけなさい」と言います。

それは、貴子を強くしているもの。
そして、貴子が求めていたもの。

その言葉は、読んでいるこちらにもズシンと響きました。

貴子の「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」
というメッセージが強烈。

あんなにも不安定だった貴子が、こんなにも強くなったのは、誰かと比べて自分を見出すのではなく信じられるものを見つけたからなんだなと。

「信じるもの=自分の芯」の強さを教えられました。

 

2019年度は女子校の入試に多数採用!?

ちなみに「サラバ!」は、2016年に海城中学校で出題されています。

海城中学校は、東京都新宿区大久保にある中高一貫制男子校。
出題されたのも、なんとなくわかるような気がする。

西加奈子さんといえば、他にも作品が中学入試に採用されています。

「おまじない」
大妻中学校
品川女子学院中等部
実践女子学園中学校
ノートルダム清心中学校
*いずれも2019年

「i(アイ)」
早稲田実業学校中等部*2018年

「さくら」
横浜共立学園中学校*2006年
専修大学松戸中学校*2007年
星野学園中学校*2014年

今年度は、女子中で出題されていたのですね!?
他にも魅力的な作品があるので、読んでみようと思います。

 

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“第152回直木賞受賞作品!西加奈子「サラバ!」” への3件の返信

  1. 素敵な本の紹介、ありがとうございます!あらすじを読んでいて、とても面白そうだったので、図書館で予約をかけてみました。
    元々、私自身、小さい頃から本が大好きですが、最近は子育てや受験関連本を読むことが多かったので、この本も紹介していただいて初めて知りました。読めるのが今から楽しみです。

    話は変わりますが、夏期講習で「よっくんの都道府県カード」というものが配られました。ダメ元で、校舎にいただけないか聞いてみてもいいかもしれません。あとは、算数で1ターム最終日毎に簡単な問題を集めた復習問題集(毎回、全部で14ページくらい?)が配布されています。

    1. 正直、最初はあまり読む気がしなかったのですが、ぐいぐい引き込まれました。
      絶賛されている理由に納得です!!
      おすすめですよ♪

      街や電車の中で、四谷大塚のカバンを見ることが多く「みんな頑張っているなぁ」と私だけが焦り、花はのんびり…うーん、かなり不安です。
      こりゃ31日はガツンと鉄槌を下されるかもしれないですね(汗)。

      宿題が大変だとは聞いていたのですが、1ターム最終日毎に簡単な問題を集めた復習問題集!?
      都道府県もしっかりと白地図などで学習させておいた方がよさそうですね(汗)
      情報、ありがとうございます(*^▽^*)

      1. 復習問題集は、各タームの最後の算数授業内で解いてきていますが、集中すれば2コマ分(子供の理解が正しければ、最終日は、算国だけなので2教科分時間を使うようです)の中で解いてこれる程度の難易度になっています。

        夏期講習、色々良いところもあるのですが、解説は予習シリーズとはやはり比較にならないので、他の体験もしようと思うと難しいかもしれないです。

        あと、先日の判定テストの人数をみると、早稲アカ生が抜けているにしても、いつもの半分くらいしか試験を受けていないのが気になっています。

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